ウタ日記

浮遊することばと追いかけっこ

桜の都

米粒は白生活を覆う白背筋を伸ばすシャツの色は白

 

薄紅は白より淡く匂いをり散る花びらは儚くなりて

 

旅土産手渡せぬままの約束はひと月先の葵祭

 

ずしを抜けろおじに迷い込む正午太陽のおいでおいでする闇

 

君も桜ソメイヨシノにあらずんば桜にあらずとどこかで思えり

 

一本桜しだれ桜の季節まだき練りきりの白抹茶の緑

 

土地の精気にデニムパンツを躊躇せり吹き抜ける風スカートふわり

 

天上より釣られるがごと精気あり上賀茂鳥居二つめくぐる

 

しだれ枝縫うがごとくの蜘蛛の巣に囚われ花びら二枚はいかに

 

右の角直角に折れ路上ル祠のありて水仙花活き


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夕餉前

レシートを一枚毎に丸めつつ転がす吐息夕餉の匂い

 
ソプラノの声は出ずとも甲高く話す彼女のスカートふわり
 
珈琲を前に溢るることのはにジャズの不定形リズムのゆらぎ
 
米粒の色生活の色それは白身体を紡ぐケミカルも白
 
朝の日の力を両手に受取りし夕餉前には使い果たすも
 
筍を一本糠を少し買い持ち重りの肩片方上げて