咳
明け方に乾いた咳で目が覚める明星と白湯に心を委ね
この活字あの装丁も好きだった本を捨てるは心も捨てる
微かな
気配ほどされど確かにそこにあるオーケストラのチャイム一音
今日もまた玄関チャイムも鳴らなくて独りとなった母の訴え
相聞歌
大切と言って貰える歓びは薄曇り晴れる満月のごと
満月の欠けたることの必然に満ちゆく想い怖さ溢るる
引き出しの奥の奥の奥
折れ曲り近藤恭子が5、6枚辞表をたたきつけた会社の
糸くずとともにポツンと貝ボタンお気に入りシャツはもうそこに無く