ウタ日記

浮遊することばと追いかけっこ

微かな

気配ほどされど確かにそこにあるオーケストラのチャイム一音 今日もまた玄関チャイムも鳴らなくて独りとなった母の訴え

France

色彩の溢れ流るる音並び海の煌めき拾うドビッシー 足下はゴツゴツキャリーがらがらと軋む石畳プロヴァンスの径

相聞歌

大切と言って貰える歓びは薄曇り晴れる満月のごと 満月の欠けたることの必然に満ちゆく想い怖さ溢るる

引き出しの奥の奥の奥

折れ曲り近藤恭子が5、6枚辞表をたたきつけた会社の 糸くずとともにポツンと貝ボタンお気に入りシャツはもうそこに無く

初雪

雪の降る前の匂いに満ちる夜早足で追う薄き三日月 1初雪の日君と飾りしモミの木もクリスマスにはただ白くあり 2南国の人は白いと思う雪北国の吾碧く見えたり 3夜ふけて重低音は153億円のパウダースノー 4キラキラと吐く息踊る氷点下沈黙の幕は我らを覆う 5空…

二筋のパラレル線を描きおり花筏を往くつがいの水鳥 <推敲> パラレルの線を水面に描きおり花筏を往く番の水鳥 <講評>花筏、は歌にするのは難しいNGワード、情緒の味が濃すぎる、が「パラレル」という情緒豊かな短歌用語ではない言葉を選んだことが功を奏…

紅い実

雪道に落ちて潰れし紅い実は涙ポロポロ散りばめられて 啄むは雪に覆われ冷たかろ硬くて渋いナナカマドの実 此処に咲く一輪のみの沈丁花口をついて出る早春賦の唄 ひらひらと雪の舞う中咲く気概沈丁花の香満ちるは間も無く

パリパリ、ポリポリ

漬物のない白飯は耐えられぬ我が家のオトコ口を揃えて 三年目やっと我が家の味となり手を抜けば駄々をこねる糠床 浅漬けに曲がり胡瓜がよく似合う母の畑は今年も元気 曲がったり太すぎたりする胡瓜たち吾ピクルスに君浅漬けに 浅漬けに曲がり胡瓜がよく似合…

父の病

眠る父からのプレゼント水色の誕生石乗せる薬指 薬指誕生祝い想い出の水色の石に父の手重ね 初雪は肌の上にて水となり凍れる落ち葉滴る涙 初雪は肌の上にて水となり指先伝い涙 となりて

昼メシ

チャイム鳴り昼飯時は訪れるエラー音鳴り響くラインにも初めてのビジネスランチは小声にて待ちかねるランチ否これは昼ごはん弁当箱の塗りの曲げわっぱ

桜の都

米粒は白生活を覆う白背筋を伸ばすシャツの色は白 薄紅は白より淡く匂いをり散る花びらは儚くなりて 旅土産手渡せぬままの約束はひと月先の葵祭に ずしを抜けろおじに迷い込む正午太陽のおいでおいでする闇 君も桜ソメイヨシノにあらずんば桜にあらずとどこ…

小さいヒト

狭い歩道ビルの谷間に響く声小さなひとたち我先に駆け 少子化の時代の宝保育士も子供と共に社会を写す

生き死ぬ

朝焼けが琵琶湖に浮かぶ水鏡迫り来る野火生き死にを見ゆ 熊野路に一歩踏み込みするすると吾溶けゆきて影さえもなく

祭り

鉢巻は揃いのねじり鳶の衆水打つ観衆得意は木遣り 足下に手拭い一本落ちており神輿の後れ毛ほつれたように

ヨソラに飛ばせ届かぬおもひ

瑠璃色の空さえざえと震えおりアンテナにひっかかる二日月 水面に一滴の波紋ひろがるを吾も歌いたしアンテナの先

卵とミルク、そしてバニラ

春浅き夜唐突にカスタードプリンの香り脳内に湧き

夕餉前

レシートを一枚毎に丸めつつ転がす吐息夕餉の匂い ソプラノの声は出ずとも甲高く話す彼女のスカートふわり 珈琲を前に溢るることのはにジャズの不定形リズムのゆらぎ 米粒の色生活の色それは白身体を紡ぐケミカルも白 朝の日の力を両手に受取りし夕餉前には…

晩春

紅牡丹陽射し眩しと葉に隠れ今や遅しと土に還らん 指先にちさき米粒二つ三つ今朝の青空飛ぶ千切れ雲

芽吹き

並木道芽吹きの枝は蒼くなり歩く歩幅を少し大きく桜花儚くなりて芽吹く木々色も緑のみにもあらず今日も駆け込む地下鉄汗ばみぬ芽吹きの黄緑蒼さを増して今朝焼けたクロワッサンのサクサクと芽吹きの黄色、今日がはじまる

背中

ターコイズ色のシャツにて家を出る背丸める君ひとり残して 去年はグレー今年は白が流行るらし烟れるマチを透明にせよ

祈りは

問題はそこではなくて此処なのです松林図屏風に末魔の声聞く 今日のこと明日やるべきこと並べては入れ替え続け夜更けのカルヴァドス 頷けば右目にかかる前髪の鬱陶しくも愛おしくあり 診察室より呼ばれし老女に「頑張って」声で背を押す、娘だろうか ぐるり…

卒業

此処かしこ枝にたわわな寒椿半ズボンの膝小僧駆けてくる 花びらの滴る血赤山茶花よ空より射られ側溝染むる 桜花何回卒業しただろう心躍らせ振り切っただろう 紅を引くような未練を抱きつつ薄桃グロス塗りて卒業 無防備な横顔君を忘れまじ「またね」言いそび…

苦々しく

珈琲の舌に苦みは際立ちて羽織る白シャツ今朝は重たし 羽織るシャツ白きが今朝は重たくて珈琲の苦み舌にざらりと 今朝のことツグミが一羽飛び立ったシャツの真白きひんやり滑る

学問

新学期大きな銀杏に寄りかかり木漏れ日浴びし講義の合間クラス一洒落た彼女は講義中万年筆にてノート取りをり騒がしく講義は続く数学の黙ししままに板書も続く

まあるいもの

あなたとは分かち合えないこの思いテーブルはさみみかん皮むく 昨日から今日へと渡る24時小さなみかんのスジとっている 世界では命の尊厳裂けてゆく蜜柑の皮を剥くがごとくに

たまご

楓の黄ツノから真紅に浸りおり水墨画の水滲むがごとく蓋取れば卵に沈むみし飴色の栗見つけたり我も我もと

エドウィン・ダン

開拓の名残は白き洋館に陽射し散る窓の波板ガラス 陽だまりの窓際の床寝転びて子猫のポーズ冬はそこまで

オンガク

二楽章カセットテープは伸びておりリズムゆらゆら無伴奏ソナタ 清みし夜寒さが瞳に入り込む月に憑かれたピエロがひとり 一楽章シンコペーション休符にて揃って息を吐く舞台上(うえ)

砂崩し

一つ目の嘘に築いた砂の城あなたの声は遠い海鳴り瑠璃色の光を受ける一粒の真珠のピアス振り向かないでため息を吐く為だけの深呼吸見落とした「9」の踊りだしたる

ゆらゆら

あの日からゆらゆらと揺れる三半器官余震は未だ続く脳内 揺れたかとダウンライトみつめ居りハッシュタグに地震の文字なし 彼の日まで地震なんか怖くなかった吾のメンタルいつまで揺れる

街<角>

ビルの影曲がればぬるり知らぬ街月冴え冴えと雨上がりの夜 百日紅徐々にしぼみて掌(たなごころ)苦み刺ささりしアイスコーヒー 細やかに裂かれたり百二十八の竹触れ合う白と白き指先

空耳

空耳はたしかに蝉の声なりし既に鳴き止みもう幾日か 君に手の届く隣にふと触れる有刺鉄線刺さる中指 はじまりはほんの二ミリの傷だった赤黒き膿テロリストなり

ズルル

百円のコーヒー啜る隣の君モテナイでしょう大きなお世話

白粉花は好きですか。

夕刻に魂破裂するように国道脇黄の白粉花 おしろい花真黒き種割り指に取る粉の白きと湿りは生身

一本の。

一本の糸が紡ぐニットの海記憶をたどる過程にある吾 一編みの次の編み目に手繰られて眠りの迷路糸の絡まる 今年はまだ猛暑の内から冬に向かって編み物を始めました。昨年の宿題なので早く完了コンプリートしたい、と思っていたら、突然寒くなりました。 悟ら…

酸い珈琲

テーブルの真中に二つ冷めていく酸い珈琲に砂糖をひとつ 浅草のタワーマンションロビー前佇む男の高校野球

気配尖りて

刺さり込む陽射しを受けて立つアザミの花弁はソラに向かう戦火よ 朝起きて淹れる緑茶の渋さにも夏終焉の気配尖りて

笑顔付きで

声を出す空気の振動波動にて人と人との隙間を作る 唇の動くことのみ見ていたい伝播の如何は私次第 自分の発言の薄っぺらさに、辟易とした一日。いえ、毎日。 ペラペラとした笑顔付きで。

いきる。

空高し火の玉燃ゆる闇深く生き死に分つ心のみかは 暑く、熱い。この日はいつまで続くのだろう。 今日は半分仕事、半分プライベートにジュエリーを見、陶器を見、重文の伝統工芸品を見て過ごした、大変長閑な2017年8月6日。

紫陽花の夏

立ち枯れて見向きもされず色失せてただ凛とある夏の紫陽花 太陽の残酷花は次々に身焼かれそれでも君を求むる この夏も、陽射しは容赦なく蒸し蒸しと熱帯のような都会のコンクリート密林。 街角の民家の鉢植えの花も、次々咲いては萎れ枯れてはまた花開く。

帯留

七宝の帯留紫陽花いつまでか身につけられるもう百日紅咲く 百日紅白の可憐は夏を呼ぶ赤咲く頃は陽の現世焼く じりじりとした陽の光のもと 歩いていても、自分の歩みが遅れがちになるのがわかります。 この陽射しのもと、花をつける草木たちの生命力を 我がも…

黄昏

独り歩く黄金色の夕暮れに家々の灯は競いて点る 始まりの号砲花火まだ薄暮雲たなびき空のジュエリー 赤い陽が落ちる明日も暑かろう今日の夕餉は焦がしたなすび

ラピスラズリは忘れ得ぬあの人の瞳の中に沈みゆく海 白金とラピスラズリの連なるを細き手首に巻きてゆれる吾 瑠璃色の鳥がいると言う南国へ忘れしものを探しに行きぬ

川の流れ

紡ぎだす音の連なり声となり水のささやきヴァイオリンの音 画像を撮れなくなりました、心理的なものです。 暫くもがいていましたが、諦めました。 なので、暫くは歌のみで更新。

ティー、トゥリー

風邪気味を撃退すべくティートゥリーマーマレード紅茶の微睡

身を焼く

初夏は青紅葉を焼く炎リストカットに染む少女

【復帰】 限りなく細いもの

一年ぶり。なるべく毎日詠みたい。一年間詠んでいなかった訳 ではないのです。 糸色のとりどりなるは蜘蛛の糸何色の空も絡めとるよう

もうすぐ三社祭(歌とは関係ない。)

灯りなき家に帰りて体じゅう憑きたるものを脱ぎ捨てる安堵 朝食が昼食になる不規則を許されてこその一人所帯よ

銀杏

掌に銀杏若葉は舞い降りる命儚し春盛りなれ ごつごつと冬越しし幹より噴きいずる銀杏若葉は勢い余りて

珈琲も冷たい方が良くなって、でもゼリー

朝陽浴び挽く珈琲の芳香は夕日傾くころ苦汁となりぬ 今日の右昨日は左へ3センチ前髪の分け目変える 化粧なり