ウタ日記

浮遊することばと追いかけっこ

もうすぐ三社祭(歌とは関係ない。)

灯りなき家に帰りて体じゅう憑きたるものを脱ぎ捨てる安堵 朝食が昼食になる不規則を許されてこその一人所帯よ

銀杏

掌に銀杏若葉は舞い降りる命儚し春盛りなれ ごつごつと冬越しし幹より噴きいずる銀杏若葉は勢い余りて

珈琲も冷たい方が良くなって、でもゼリー

朝陽浴び挽く珈琲の芳香は夕日傾くころ苦汁となりぬ 今日の右昨日は左へ3センチ前髪の分け目変える 化粧なり

はしか

何故赤い牡丹の花はハレの年毒吹きだせば麻疹のごとし

さくらさくら、散りぬるを。

鼻筋に見えない蝶の停まるごとその横顔の傲慢さが好き 雲母(きら)を剥ぐどこまで剥がせど半透明ぺりりと一枚(ひとひら)今日も暮れ行く いま一度なごり雪のよう散る桜吹雪きたわむれ踊る子ひとり

薫らない

冷気刺す罪深き空目の前に鉄の扉(と)降りるがごとし綿吹雪 薄皮を剥がすがごとく落ち着きを手に入れられたのは泥の涙より 膨らみし蕾ようやく開けども薫る隙さえ与えぬ雪よ

もげる花

椿花ぽとりぽとりと地を染める春の女神は戦慄なのか

裏面(りめん)

肉を焼き魚をさばく肌深き染み込む匂い僅かに甘やか 人知れずこころは深く堕ちてゆく高き陽燦々仰ぐときこそ

心は揺れない

安穏を希(のぞ)みて白い二粒に連れられし夢に塹壕は待つ 心音を刻む音(ね)に時計シンクロす弱々しく西日刺さり込む 同じ色ばかり減りゆく色鉛筆頑な心を写し取るから

モノクローム

君の棲む世界に朝日が昇るたびカーテン越しに突き刺さる刃(やいば) 髪なんてほっておいても乾くだろ片手に抱いた猫の洗顔 寒色に目が慣れて冬山茶花はマゼンダ雪こそモノクローム

改稿其の壱 -夜-

(1)冴え冴えと凍て放たれる月光は空が海なら怒る河豚の刺 (2)みかん剥く果汁にまみれ咥え指湧き出る唾液に昨夜が溶ける もういっちょ。 (3)しどけなく腹みせ眠る犬のよう触れたし怖し君の手のひら

忌み嫌う生活

やはやはのトイレットペーパー使うこと意味などあるのかほぼないに近い 千円の緑茶を五日で飲みきるは身の丈合わねどこれぞ信念 クロワッサン香りしないと不機嫌にバター塗る君十勝に育ち 引き蘢り生活をしていると、歌も内向かいになる。 なるな。

空が海

冴え冴えと凍りながら発光す 空が海なら月は雲丹にみえ 寒いと月が奇麗です。やや弱りつつあるわが眼には、月の光線が刺に見える・・・

passwordを忘れてloginできなかった・・・

いろいろと低空飛行なこと多し。 passを規定以上間違うと1日以上入れないのね・・・なんだか世界に拒絶された感が強くなった。せっかくやる気になったと言うのに・・・ 持ち帰りスプーンの袋を引き千切るポリプロピレンの塵がひとひら

年も明けてもう9日の

一発目から恋のうた どうなってるんだろう、私のあたま。しどけなし空(くう)掴むごとし半開き 手のひらに触れる今午前四時

おおつごもり。

枯れ落ち葉命の余韻残り居る新たな芽吹きに看取られながら 晦(つごもり)も十二回目だと騒ぎきて至極呆気なく過ぎてゆく刻 いろいろなもの、そして自分の心、人の心に目を凝らして来たつもりなのに 恐ろしくなるような言葉の行き違いや、自分自身に付いた嘘…

みかん。好き。

みかん剥く果汁に濡れし指先は 酸いも甘いも過去呼び起こす 頭痛起きしくしくと泣く毛穴から みかんの芳香は天翔け登る龍 剥きて爪隙間に食い込みし皮 白く黄色い果実を包(くる)む

たましい。

飛び立てど想いは残るひとひらの 羽根の姿にうつろに化して 魂よ空に向かいて放たれん 言葉も色も溶け出ずる空 そこにいるあなたは私をしらないね しらないことすらきっとしらない このところずっと 言葉は究極の記号なので、言葉ではつたわらないこと、 言…

夢は駈巡る

道ばたのエノコログサを掻き分けて 荒野に置かれし虫の眼となり 虫は苦手だが、草は好き。自分では移動出来ない草が何故好きなのか。 人に踏まれたり摘まれたり、されるがままの、草に何故なりたいのだろう。

まだ、白粉花が咲いている。

いつのまに 咲き終わる刻を見失う 花の季節こぼれ落つがごとく 昨日の改稿 心には針の穴ほどの隙間あり ぬるり出でしは苦悩の飽和

にょろにょろ。

鍼の先ほどの心の隙間あり つつかれ出でし虚ろな心太 テーブルにいくつも酒瓶右左へと 宴の後は夢か幻か

飽く。

にぎり飯ほおばり腹を満たす今 ふと昨晩の飽食を振り返る 飽くまでに私で心を一杯に 留まることなどありはしないから 中毒と言われながらも手を伸ばす 我が身の破滅あるを知りながら もう、いろいろなことが混乱しぐしゃぐしゃなとき 豪華な食事をたべたくな…

怒り

ふと声に出す誰かの名 意味のない音の羅列に 顔も浮かばず 短歌をブログに載せるなら、本文はおちゃらけるな〜かあ・・・ 私は、作家の円上塔の作品が好きだけど、読んでるとまったく読者をあざ笑うかのような挑戦的な遊技をしているようにしか思えないんだ…

ホドケル。

無意識に心の箍を解くとき 向けられる厳しき眼畏れて 華やかに咲く役割を求められ 応え続けてももう秋も暮れ 改稿 向けられる厳しき視線に慄きて 心の箍は解け崩れ落ち こういう歌をよむと、観念的でさっぱりわからないとの評価が。 昔よく見た「ヌーヴェル…

命の季節は冬。

無造作に鎖骨晒して夏は去り ウール巻き付け本気の恋を 夏に肌を晒しても、誰も気に留めない(顔をしている) 寒くって胸元にぐるぐると幾重にもストールを巻く。 隠せば隠すほど 気になるものらしい。 可笑しい。 疲れとは 明日を生き延びる細胞の今日死ぬ…

ワンコイン ランチ食(は)みつつ 愛なんてただの我欲と思い至れり 食について私の批判的立場の歌が立て続けなのは 体調(歯)の不良で、食べたいような食べたくないような この世に食事なんて無ければいいのに、と思っているから。 料理は好きだけど、食べ…

食欲中枢

空腹はもはや感ぜず 嘔吐してまだ食べたいか海馬の崩壊 夜がふけるほどに、おやつが食べたくなる。お腹が空いている訳では決して無い。 強いて言えば、脳が飢えている。 脳を使っているから、ではなく、何かが壊れて、どこぞの汚染水の用に漏れだしているか…

raison d'etre

私が、ここで短歌を詠む動機になった luvlife さんの 今日の日記にインスパイアを受けて。 書いてあることが面白かったし、すごく納得できたから。 彼女の文章には「文体」があって、だらだらっと書いているようで余計なことは一つも書いてない。文才の無い…

見なければ、見えない

見ることを科す忘我のさなかにも 我に向けられし眼差しを知る

心もとない・・・ <お菓子2題>

初雪の消え行くようにほろほろと 甘き葛菓子 想い馳せをり 13時粉振るい練り込むバター 鉛の昨日ほらパウンドケーキ お菓子は魔物。トロトロ、ホロホロ甘いけれど。けれども。この鬱々とした心と同じものが根底に重くある。