キズと痛み
桃を吸う 果汁に濡れし指先に 纏わりついて 屍臭は甘い
粘膜を伝う 痛みは快楽に 35度の透明アルコール
血の味に似るか 甘美な柘榴の実 細胞のように粒身寄せ合う
いろいろな事故が多発している中、不謹慎だ、とは思うけれど
キズは生々しく「生」の匂いを発する。
キズは「生きたい」と叫んでいる気がする。
だから、エロティックでもあり、グロテスクでもある。
痛みは目に見えない。
だから観念的、「生々しさ」がない。だからエロティックではない。
むしろ、エロティックなことの反動ですらある。かも。