ウタ日記

浮遊することばと追いかけっこ

まあるいもの

あなたとは分かち合えないこの思いテーブルはさみみかん皮むく 昨日から今日へと渡る24時小さなみかんのスジとっている 世界では命の尊厳裂けてゆく蜜柑の皮を剥くがごとくに

たまご

楓の黄ツノから真紅に浸りおり水墨画の水滲むがごとく蓋取れば卵に沈むみし飴色の栗見つけたり我も我もと

エドウィン・ダン

開拓の名残は白き洋館に陽射し散る窓の波板ガラス 陽だまりの窓際の床寝転びて子猫のポーズ冬はそこまで

オンガク

二楽章カセットテープは伸びておりリズムゆらゆら無伴奏ソナタ 清みし夜寒さが瞳に入り込む月に憑かれたピエロがひとり 一楽章シンコペーション休符にて揃って息を吐く舞台上(うえ)

砂崩し

一つ目の嘘に築いた砂の城あなたの声は遠い海鳴り瑠璃色の光を受ける一粒の真珠のピアス振り向かないでため息を吐く為だけの深呼吸見落とした「9」の踊りだしたる

ゆらゆら

あの日からゆらゆらと揺れる三半器官余震は未だ続く脳内 揺れたかとダウンライトみつめ居りハッシュタグに地震の文字なし 彼の日まで地震なんか怖くなかった吾のメンタルいつまで揺れる

街<角>

ビルの影曲がればぬるり知らぬ街月冴え冴えと雨上がりの夜 百日紅徐々にしぼみて掌(たなごころ)苦み刺ささりしアイスコーヒー 細やかに裂かれたり百二十八の竹触れ合う白と白き指先

空耳

空耳はたしかに蝉の声なりし既に鳴き止みもう幾日か 君に手の届く隣にふと触れる有刺鉄線刺さる中指 はじまりはほんの二ミリの傷だった赤黒き膿テロリストなり

ズルル

百円のコーヒー啜る隣の君モテナイでしょう大きなお世話

白粉花は好きですか。

夕刻に魂破裂するように国道脇黄の白粉花 おしろい花真黒き種割り指に取る粉の白きと湿りは生身

一本の。

一本の糸が紡ぐニットの海記憶をたどる過程にある吾 一編みの次の編み目に手繰られて眠りの迷路糸の絡まる 今年はまだ猛暑の内から冬に向かって編み物を始めました。昨年の宿題なので早く完了コンプリートしたい、と思っていたら、突然寒くなりました。 悟ら…

酸い珈琲

テーブルの真中に二つ冷めていく酸い珈琲に砂糖をひとつ 浅草のタワーマンションロビー前佇む男の高校野球

気配尖りて

刺さり込む陽射しを受けて立つアザミの花弁はソラに向かう戦火よ 朝起きて淹れる緑茶の渋さにも夏終焉の気配尖りて

笑顔付きで

声を出す空気の振動波動にて人と人との隙間を作る 唇の動くことのみ見ていたい伝播の如何は私次第 自分の発言の薄っぺらさに、辟易とした一日。いえ、毎日。 ペラペラとした笑顔付きで。

いきる。

空高し火の玉燃ゆる闇深く生き死に分つ心のみかは 暑く、熱い。この日はいつまで続くのだろう。 今日は半分仕事、半分プライベートにジュエリーを見、陶器を見、重文の伝統工芸品を見て過ごした、大変長閑な2017年8月6日。

紫陽花の夏

立ち枯れて見向きもされず色失せてただ凛とある夏の紫陽花 太陽の残酷花は次々に身焼かれそれでも君を求むる この夏も、陽射しは容赦なく蒸し蒸しと熱帯のような都会のコンクリート密林。 街角の民家の鉢植えの花も、次々咲いては萎れ枯れてはまた花開く。

帯留

七宝の帯留紫陽花いつまでか身につけられるもう百日紅咲く 百日紅白の可憐は夏を呼ぶ赤咲く頃は陽の現世焼く じりじりとした陽の光のもと 歩いていても、自分の歩みが遅れがちになるのがわかります。 この陽射しのもと、花をつける草木たちの生命力を 我がも…

黄昏

独り歩く黄金色の夕暮れに家々の灯は競いて点る 始まりの号砲花火まだ薄暮雲たなびき空のジュエリー 赤い陽が落ちる明日も暑かろう今日の夕餉は焦がしたなすび

ラピスラズリは忘れ得ぬあの人の瞳の中に沈みゆく海 白金とラピスラズリの連なるを細き手首に巻きてゆれる吾 瑠璃色の鳥がいると言う南国へ忘れしものを探しに行きぬ

川の流れ

紡ぎだす音の連なり声となり水のささやきヴァイオリンの音 画像を撮れなくなりました、心理的なものです。 暫くもがいていましたが、諦めました。 なので、暫くは歌のみで更新。

ティー、トゥリー

風邪気味を撃退すべくティートゥリーマーマレード紅茶の微睡

身を焼く

初夏は青紅葉を焼く炎リストカットに染む少女

【復帰】 限りなく細いもの

一年ぶり。なるべく毎日詠みたい。一年間詠んでいなかった訳 ではないのです。 糸色のとりどりなるは蜘蛛の糸何色の空も絡めとるよう

もうすぐ三社祭(歌とは関係ない。)

灯りなき家に帰りて体じゅう憑きたるものを脱ぎ捨てる安堵 朝食が昼食になる不規則を許されてこその一人所帯よ

銀杏

掌に銀杏若葉は舞い降りる命儚し春盛りなれ ごつごつと冬越しし幹より噴きいずる銀杏若葉は勢い余りて

珈琲も冷たい方が良くなって、でもゼリー

朝陽浴び挽く珈琲の芳香は夕日傾くころ苦汁となりぬ 今日の右昨日は左へ3センチ前髪の分け目変える 化粧なり

はしか

何故赤い牡丹の花はハレの年毒吹きだせば麻疹のごとし

さくらさくら、散りぬるを。

鼻筋に見えない蝶の停まるごとその横顔の傲慢さが好き 雲母(きら)を剥ぐどこまで剥がせど半透明ぺりりと一枚(ひとひら)今日も暮れ行く いま一度なごり雪のよう散る桜吹雪きたわむれ踊る子ひとり

薫らない

冷気刺す罪深き空目の前に鉄の扉(と)降りるがごとし綿吹雪 薄皮を剥がすがごとく落ち着きを手に入れられたのは泥の涙より 膨らみし蕾ようやく開けども薫る隙さえ与えぬ雪よ

もげる花

椿花ぽとりぽとりと地を染める春の女神は戦慄なのか