ウタ日記

浮遊することばと追いかけっこ

2015-09-01から1ヶ月間の記事一覧

砂崩し

一つ目の嘘に築いた砂の城あなたの声は遠い海鳴り瑠璃色の光を受ける一粒の真珠のピアス振り向かないでため息を吐く為だけの深呼吸見落とした「9」の踊りだしたる

ゆらゆら

あの日からゆらゆらと揺れる三半器官余震は未だ続く脳内 揺れたかとダウンライトみつめ居りハッシュタグに地震の文字なし 彼の日まで地震なんか怖くなかった吾のメンタルいつまで揺れる

街<角>

ビルの影曲がればぬるり知らぬ街月冴え冴えと雨上がりの夜 百日紅徐々にしぼみて掌(たなごころ)苦み刺ささりしアイスコーヒー 細やかに裂かれたり百二十八の竹触れ合う白と白き指先

空耳

空耳はたしかに蝉の声なりし既に鳴き止みもう幾日か 君に手の届く隣にふと触れる有刺鉄線刺さる中指 はじまりはほんの二ミリの傷だった赤黒き膿テロリストなり

ズルル

百円のコーヒー啜る隣の君モテナイでしょう大きなお世話

白粉花は好きですか。

夕刻に魂破裂するように国道脇黄の白粉花 おしろい花真黒き種割り指に取る粉の白きと湿りは生身

一本の。

一本の糸が紡ぐニットの海記憶をたどる過程にある吾 一編みの次の編み目に手繰られて眠りの迷路糸の絡まる 今年はまだ猛暑の内から冬に向かって編み物を始めました。昨年の宿題なので早く完了コンプリートしたい、と思っていたら、突然寒くなりました。 悟ら…