2017-01-01から1年間の記事一覧
萌から銀杏並木はへ黄一色 ブルーが空へ溶け出したのだ 赤門の銀杏並木の燃ゆる頃北のポプラは枯れ木になりぬ 赤門の銀杏並木が燃える頃吾踏みしめるポプラの落ち葉
果てしない夢は努力に花開くトゥーランドットを舞う氷上に 果てしない夢は努力の上に咲くトゥーランドットを舞う氷上に 宵の月花はうららか隅田川水辺に遊ぶ思い思いに
木枯らしに背中を押され駆け込んだ汗の吹き出す車内の常夏 日曜の朝手回しで珈琲を挽いていた爪はながくて四角
ああここに忘れた頃にひょっこりと馴染んだ指輪バッグの底に 傷まみれ通勤鞄が遺されし父去る実家の居間にポツンと
霧の中茶の花の白は慎ましく新茶の青の力強さよ 葉に埋もれうつむきかげん白い花茶にも花有りつぶらな実もなる
明け方に乾いた咳で目が覚める明星と白湯に心を委ね この活字あの装丁も好きだった本を捨てるは心も捨てる
気配ほどされど確かにそこにあるオーケストラのチャイム一音 今日もまた玄関チャイムも鳴らなくて独りとなった母の訴え
色彩の溢れ流るる音並び海の煌めき拾うドビッシー 足下はゴツゴツキャリーがらがらと軋む石畳プロヴァンスの径
大切と言って貰える歓びは薄曇り晴れる満月のごと 満月の欠けたることの必然に満ちゆく想い怖さ溢るる
折れ曲り近藤恭子が5、6枚辞表をたたきつけた会社の 糸くずとともにポツンと貝ボタンお気に入りシャツはもうそこに無く
雪の降る前の匂いに満ちる夜早足で追う薄き三日月 1初雪の日君と飾りしモミの木もクリスマスにはただ白くあり 2南国の人は白いと思う雪北国の吾碧く見えたり 3夜ふけて重低音は153億円のパウダースノー 4キラキラと吐く息踊る氷点下沈黙の幕は我らを覆う 5空…
二筋のパラレル線を描きおり花筏を往くつがいの水鳥 <推敲> パラレルの線を水面に描きおり花筏を往く番の水鳥 <講評>花筏、は歌にするのは難しいNGワード、情緒の味が濃すぎる、が「パラレル」という情緒豊かな短歌用語ではない言葉を選んだことが功を奏…
雪道に落ちて潰れし紅い実は涙ポロポロ散りばめられて 啄むは雪に覆われ冷たかろ硬くて渋いナナカマドの実 此処に咲く一輪のみの沈丁花口をついて出る早春賦の唄 ひらひらと雪の舞う中咲く気概沈丁花の香満ちるは間も無く