ウタ日記

浮遊することばと追いかけっこ

静けさとさざ波

嵐の夜がらがらと 栗の鬼皮を剥く 指切った荒れる風のせい 台風が来ると、えらく調子が悪い。そういう人は多い。

白と、いろ

空を裂く一筋の雲に見えるもの 色無き大気と氷の競演 流れしは汗だったのか塩辛く 身体も心もちぎれるほどに 初めて、汗か涙かわからないものが流れていて、本当に自分でもどちらかわからない、という体験をしました。 次から次へと、新しい体験は出来るもの…

みな、密やかに。秋は来ぬ、と。

名残の日 自が身さらせワレモコウ 吾は紅なれ花なれと逝く ワレモコウを見るころは、秋風が心地よいはずなのに。 ジャングルを彷徨いながらも進軍の ラッパのような秋の朝顔 まだまだ咲いている、俯き加減の朝顔たち、何時まで咲けばいいのか俺たち、 ため息…

生きることの恥を知る

ひとはただ生きているのみ 意味などを問うこと自体が おこがましいよね 轢かれたか 鳥の骸が往来に 粉々に散り腐敗すらせず 疲れてる、私。異常に眠たい。 起きている間中眠たくて、眠っている間中忙しい夢を見ている。

疑似恋愛

目の前で話すあなたの瞳視る 我が姿なき真実(まこと)知りつつ 恋しいとふと口を衝いて出るあなたの名 空気揺らすも面影浮かばず 今更何を、と思うけれど 誰かが好きだという感情は、本当にその人を好きなのか、そしてそれが恋なのか、 それとも恋する自分…

いらいらするのは

十分に深まる季節金木犀 濃密なりし今更に気づく いらいらする。家から一歩外に出ると、もうそこにはキンモクセイの薫りが 空気に充満するようになってから 「金木犀が咲いたね」などと呑気に言われること。 今か今かと、夏の暑いうちに気配を探し求めている…

甘き薫りは

その甘きうなじは薫る エロスとて 花の終わりの屍臭にあらぬか ヨーロッパにいって、うつくしい町並みが嬉しくて、 こんなに使わないだろう、というくらいフレグランスを買ってしまった。 買ってしまったのは、フレグランスと紙類とチョコレートばかり。 買…

疲れた。

豊穣の母なる大地とたたえけり 草木茂らせときには枯らす 題詠のお題が「母」なので、投稿歌は違う歌にしましたが、「母」の歌をひねり出す。 「母」は苦手です、自分もなったことが無いし。 短歌大会に応募するのに18首ひねっていたら、もう出尽くした感…

執着心。

カサカサと玉葱の皮を剥くように 君への想いは軽く薄くなり 気になる。好きでも嫌いでも、気になる人は気になるもの。 嫌いで気になるのも、意地悪な感情も それは執着心だと思う。 執着から解き放たれるときは案外なにも感慨が無いもの 改稿9/25 カサカサと…

本歌取り、のつもり <お題 秋の準備>

衰えぬ陽は強く 目にさやかなり 秋の戸叩く キンモクセイの香 むずかしいですね、本歌取り。 本歌がわかっていただけなかったりすると、凹むのですが、 秋のこの歌は大好きです。 果敢に挑戦してみましたが、自爆したみたいです・・・ 秋ですが、日中の気温…

どす黒い想い。

救うのは 母体か胎児か迷うことさえ無きを知る 命の軽さ 短歌大会の題詠を習作している。 題は「母」 まず湧き出て来た歌。私の心の中のどす黒い部分を、穿り出してみるかのようだ。 と、自分の歌ながら思う。 秋の夜の永きに耐えかね 眠らない理由(わけ)…

お題 秋の準備 季節は食べ物から。

幼き日 鼻腔を抜ける日向味(ひなたあじ) 寒さきたるべし 備えよ栗ごはん 栗が庶民の手元に届く季節になって来た。 今年はどういう訳か、我が家の近所のスーパーでとても安い。 今出回っているのは茨城産の栗で、この夏は暑かったせいか 大きくほくほくでと…

しぬほどつらい?

*・・・って風にね、しぬほどつらくなるから、それを心配したの。 ーーーー<会話少し> ++ ・・・でも、人間誰しもがいつかは必ず死ぬんだよ。だったら、何時どこで 死んでも同じじゃないのかな。それが少し速いか遅いかの違いで、宇宙に流れる 時間にし…

旅に出ておりました

しばらくぶりです。 旅の途上で歌を詠もう、なんて、洒落たことも考えてみましたが そんな余裕は全くありませんでした・・・ 手のひらを かざしてみれば大空に 血潮は空かず光遮ぎらる 憑かれしは満月の夜のその次の 猶予(いざよ)う心見透かす空よ 昼と夜…

今見えていることが全てじゃないし、見えないことの方が大切というわけでもない

人ってね 見える事象が全てでも 宇宙(ソラ)も素粒子も見えない 視神経 網張りかかる獲物待つ 決してかからぬ形なきもの しばらく詠めませんでした。 精神状態が全く整いません。 そういう状態はもう飽き飽きするほど経験しても、整わないときの対処法は「…

美しい汗には条件がある

濡れ髪を くるり巻き上げ 露わなる うなじに滲む 汗に気づいて 女性の汗が美しいのは、若さゆえ。失ってみてそう思う。 もう一つ美しい汗は、汚れた町工場のおっちゃんの 額、頭のてっぺんから、腕から、背中から滴り落ちる汗。 どちらにしても、私には手が…

キズと痛み

桃を吸う 果汁に濡れし指先に 纏わりついて 屍臭は甘い 粘膜を伝う 痛みは快楽に 35度の透明アルコール 血の味に似るか 甘美な柘榴の実 細胞のように粒身寄せ合う いろいろな事故が多発している中、不謹慎だ、とは思うけれど キズは生々しく「生」の匂いを発…

あまり心を揺さぶられないです、海

真昼の月からの手紙 さん の題詠「海」を読んで、 私も「海」に挑戦してみました。 繰り返し寄せては引くと信じおり この身を安堵へ連れて逝け波の音 この海の向こうに何があるのだろう? 無知と希望を持っていたあの頃 心を痛めた時海を見たいという人は多…

伝わらないんだ、こんなに伝えたいのに。

心より 絞り出したることばさえ シナプス受容セズ のシグナル 心を込めれば込めるほど、空回りの猿芝居になる。 なぜ伝わらないのか、悩めは悩むほど、底なし沼に落ちてゆく。

夏は傷痍射撃

強き陽に狙い撃たれし百日紅 枝の先より 炎は点る 暑い。 何もかも焼けてしまいそうなほど。 植物さえも焼けるんじゃないかと、 そう思いきや、花が咲いている姿を見ると清涼感を感じる。 それが真っ赤なブーゲンビリアであっても。 今日、ピンクと白の混じ…

お引っ越ししようと思ったけれど、しばらく併用で。

◆ 短歌を日々詠う修練(コソ練)の場、こちらへお引っ越ししようと思った訳 この人のブログで、彼女が短歌に興味を持ったからでした。 こんな感性の人に詠んで欲しい「今の歌」 短歌詠みのひとは、高齢の人が多くて、昔懐かしい。だったり、長年連連れ添った…